Just Walk Outとは、レジを通過せず買い物ができるシステムの一つです。アマゾンがかなり力を入れており、2016年Amazon Goの小型店を皮切りに、現在ではAmazon Goの中型店、Amazon Fresh、Whole Foods Marketにも導入されています。また、他の小売業へのシステム提供も行っております。
Amazon Freshにて。ダッシュカート利用時には無料の紙袋が、JWO利用時は有料です。センサーが働くからでしょうか。
天井には無数のセンサーが設置されています。それと併せて陳列什器にも重量センサーが設置され、来店客の動作と商品の重量差によって購入アイテムを判断していきます。
デリコーナーにもセンサーが設置されています。セルフアイテムは重量のユニット売りではなく、バラ売りと同じ「サイズごとに1個いくら」の販売手法です。
ゲートがついており、アプリのIn Store Codeをスキャンすると、自動的に精算がされます。
Whole Foods Marketにて、右側のゲートはJWOではなく、レジ清算用のものです。こちらでもほとんどがレジ清算を使用している感じでした。
陳列什器は生産性向上のためか、写真のようなボックスを使い、手間のかけないオペレーションスタイルを採用しています。商品管理についてはAmazon Freshと比較しても鮮度差は歴然で、陳列も整然とできています。なぜ、Whole Foods Marketのノウハウを移植しないのか、疑問に感じるところです。
たまたま購入客の精算シーンを撮影できました。右側の従業員も特に注意を払っているわけではありません。
カリフォルニア州では、万引き犯罪が社会問題となっておりますが、JWOでは重量で判断されているので、システムにミスがなければ、不正の心配がなくなり、レジや係員の負担が大きく軽減されます。
Amazon Goの郊外型中型店。目の前は警官ですが、たまたま買い物をしてきたようで、何か犯罪があったわけではありません(笑) Amazon Goでも、JWOを使わないで利用できるシステムになっております。
上部のセンサーがかなりの数ついているのが分かります。
デリコーナー。相対でオーダーするのではなく、手前のオレンジ色の端末からオーダーをする形です。
3店とも大きさに差はあるものの、仕組みには大きな違いありません。
なかでも触れましたが、JWOであるにもかかわらず、利用者はあまり多くありません。
便利なシステムなはずなのになぜでしょうか?
①Response:買物してからの詳細レシートが届くのが2時間後
ダッシュカートと異なり、入力せずただ買物袋に入れていくだけですから、実際にいくら購入しているかが分かりません。小型店のAmazon Goでは、即時に買物レシートがメールにて届いていた記憶があるのですが、今回は2時間以上後に届いていました。もちろん、アプリを立ち上げて確認すれば、すぐにわかるのですが、それでは手間がかかり面倒に感じる人が多いのではないでしょうか。
②Accuracy:センサーの正確性
私自身は少ない買い物点数であったため、なかったのですが、ネット上には、誤入力が多い点がかなり指摘されています。その対応もかなりの手間のようで、敬遠されている大きな要因となっているようです。小型店では、スムーズに対応している感じましたが、売場の守備範囲が広がるとなかなか難しい面が出てくるようです。
③Assortment:売れ筋に偏った品揃え、目立つ欠品
システムそのものではなく、使い勝手の問題も影響しているようです。Amazonは在庫管理やレコメンドについてはアドバンテージを持っていますが、購入頻度が多く、一度の欠品が来店を遠ざける要因となる小売業の基本となる部分については、まだ対応が不十分な印象を受けました。
この辺りは実店舗のノウハウをどのように吸収し、自分たちの強みとして転換していくかが注目されていくでしょう。
課題としては、アマゾンであっても完全にJWOの利用を促すには至っておらず、顧客への価値提供に向けた試行錯誤が続いている点です。一部でも通常の取引が残っていては、なかなか生産性向上や不正防止という形にはいきません。しかし、日本国内で考えていても、人口減少や人手不足の問題から、JWOは魅力的なシステムとして選択肢に成長してほしいところです。顧客側の視点も意識しつつも、事業者側の視点も意識しながら、この活用を検討していく必要があると感じました。